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神戸地方裁判所 平成7年(ワ)892号 判決

原告

大嵩節子

ほか二名

被告

株式会社島文

ほか一名

主文

一  被告らは、原告大嵩節子に対し、連帯して金五九六万〇七〇一円及びこれに対する平成五年一二月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告谷陽美に対し、連帯して金三二八万四七八八円及びこれに対する平成五年一二月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告大嵩貴史に対し、連帯して金三二八万四七八八円及びこれに対する平成五年一二月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告らのその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。

六  この判決は、第一ないし第三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、原告大嵩節子に対し、連帯して金一三一〇万五八五〇円及びこれに対する平成五年一二月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告谷陽美に対し、連帯して金六五五万二九二五円及びこれに対する平成五年一二月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告大嵩貴史に対し、連帯して金六五五万二九二五円及びこれに対する平成五年一二月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件は、後記事故(以下「本件事故」という。)により死亡した訴外亡大嵩正夫(以下「亡正夫」という。)の相続人である原告らが、被告株式会社島文(以下「被告会社」という。)に対しては自動車損害賠償保障法三条、民法七一五条に基づき、被告西山栄二(以下「被告西山」という。)に対しては民法七〇九条に基づき、損害賠償を求める事案である。

なお、付帯請求は、本件事故の発生した日の翌日から支払済みまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金である。

また、被告らの債務は、不真正連帯債務である。

二  争いのない事実

1  事故の発生

(一) 発生日時

平成五年一二月一三日午前八時五五分ころ

(二) 発生場所

神戸市東灘区住吉浜町一三 被告会社御影工場東ヤード内

(三) 争いのない範囲の事故態様

被告西山は、油圧シヨベル(通称「ユンボ」)を使用して右発生場所に置かれていた金属製ワイヤー入り金属製容器(通称「バツカン」)を持ち上げ、移動させようとした際、右油圧シヨベルのアームの回転半径内近辺に亡正夫がいたのに気づかず、右油圧シヨベルのアームを左旋回させたため、右バツカン又は右ワイヤーが亡正夫に衝突し、亡正夫を転倒させた。

(四) 亡正夫の死亡の結果

本件事故により、亡正夫は、頭蓋骨骨折等の傷害を負い、同日午後一一時四二分ころ、神戸市立中央市民病院において死亡した。

2  責任原因

被告西山は、本件事故に関し、油圧シヨベルのアームの回転半径内近辺に人がいないことを確認すべき義務を怠つた過失があるから、民法七〇九条により、本件事故により亡正夫に生じた損害を賠償する責任がある。

被告会社は右油圧シヨベルの運行供用者であり、また、被告西山は本件事故当時被告会社の業務に従事中であつたから、被告会社は、自動車損害賠償保障法三条、民法七一五条により、本件事故により亡正夫に生じた損害を賠償する責任がある。

3  相続

亡正夫の相続人は、妻である原告大嵩節子、及び子である原告谷陽美、原告大嵩貴史である。

三  争点

本件の主要な争点は次のとおりである。

1  本件事故の態様及び過失相殺の要否、程度

2  亡正夫に生じた損害額

四  争点1(本件事故の態様等)に関する当事者の主張

1  被告ら

亡正夫は、本件事故の発生場所で鋼材の分解作業に従事していたところ、被告西山の運転する油圧シヨベルが右作業場内に入つてきたので、いつたんは分解作業をしていた場所から退避した。その後、被告西山の運転する油圧シヨベルが停止し、バツカンを移動する作業を開始した後、亡正夫は、漫然と右油圧シヨベルのアームの回転半径内に立ち入り、鋼材の分解作業を再開した。

そして、本件事故の発生場所は工場の敷地内であり、亡正夫も被告の作業に従事して、油圧シヨベルのアームの回転半径内に立ち入ることの危険性を充分に認識していたはずであるから、自らの安全を確保するため、右回転半径内に不用意に立ち入らないよう注意すべき義務があつたというべきである。

したがつて、亡正夫にも過失があり、本件事故に対する亡正夫の過失の割合は、少なくとも二割を下回ることはない。

2  原告ら

亡正夫が鋼材の分解作業に従事していた場所は、被告西山の運転する油圧シヨベルのアームの回転半径外であつた。

被告西山の運転する油圧シヨベルのアームの先端は、可動する二つのフオーク状の爪となつており、被告西山は、右二つの爪を開いた状態にして、バツカンを上部から挟みこんで持ち上げ、これを移動しようとしていたが、この方法自体が確実にバツカンを固定するものではなく、危険な方法であつた。

このため、アームが左旋回を開始したとき、右バツカンが落下し、地上を転がつて亡正夫に衝突したものであり、亡正夫にとつてみれば、まつたく予測しえない事態であつた。

さらに、亡正夫が作業をしていた場所は所定の作業位置であり、各種の危険作業が同時に行われる作業場内では、各作業者は他の作業が安全に行われることを信頼していれば足りるというべきである。

したがつて、亡正夫には、過失相殺の対象となるべき過失はない。

五  証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

六  本件の口頭弁論の終結の日は平成九年三月一二日である。

第三争点に対する判断

一  争点1(本件事故の態様等)

1  甲第一四、第一五号証、第一七、第一八号証、乙第五ないし第一二号証、検乙第一、第二号証、証人寺本兼義の証言、被告西山の本人尋問の結果、弁論の全趣旨によると、本件事故の態様に関し、前記争いのない事実の他に、次の事実を認めることができる(なお、弁論の全趣旨によると、甲第一七号証は、写し作成時に、乙第五号証に乙第六号証の写真部分のみを続いて添付し、一つの書面のような形式になつたことが認められる。また、甲第一八号証と乙第八号証とは同一の文書である。)。

(一) 本件事故の発生した被告会社御影工場東ヤードは、東西に長い広さ約八五〇〇平方メートルの敷地で、東側は軽量鉄骨二階建事務所、中央は鉄骨平家建作業場、西側は屋外作業場となつている。

そして、本件事故は、このうち、西側の屋外作業場の西端に設けられたガス切断作業場において発生したが、右ガス切断作業場は、北・西・南の全面と東面の一部が鉄塀で囲まれている。また、その広さは、南北四一・九メートル、東西二四・六メートルであり、地面はコンクリート打ちされ、その上に土が溜まつた状態になつている。

(二) 被告西山の運転していた油圧シヨベルは、高さ五・六メートル、幅二・六六メートル、長さ(車体のみ)三・九メートル、運転座席までの高さ四・二メートルであり、先端に五本爪のユニツトが装着された長さ八・七六メートルのアームが付いている。

右油圧シヨベルには、車体天井に始動時に作動する青色ランプ、車体の後部に旋回時に作動する黄色ランプがあり、車体後部には「作業半径内立入禁止」と大書きされているが、始動時、作動時に、内蔵されているスピーカーから注意を喚起するような音声が出るということはない。

また、被告西山が移動させようとしたバツカンは、上部の開いた鉄製箱状のもので、高さ〇・七メートル、縦一・三メートル、横は上部二・一メートル、底部一・六メートル、その重量は約一トンであり、その内部には、重量合計約五〇〇キログラムの金属製ワイヤーが詰つていた。

(三) 本件事故が発生する直前、亡正夫と寺本兼義は、右ガス切断作業場で、ガスバーナーを用いて鉄板の切断作業をしていた。なお、この際、右両名は、定められたヘルメツト、作業用メガネ、マスク、手袋、安全靴等を着用していた。

そこに、東面の北寄りにある鉄塀の途切れた部分から、被告西山の運転する油圧シヨベルが入つてきたので、亡正夫と寺本は、両名が切断していた鉄板を運搬するために右油圧シヨベルが来たのだと判断し、一時作業を中断して、退避した。しかし、被告西山は、鉄板を運搬するために来たのではなく、バツカンを移動するために入場しており、その作業を開始したのを認めた亡正夫と寺本の両名は、再び鉄板の切断作業を開始した。

なお、被告西山は、右ガス切断作業場に入る際、少なくとも一人が鉄板の切断作業に従事していたことを認めたが、それ以上には状況を把握していない。

ところで、被告西山の運転する油圧シヨベルが停止した地点と移動させようと思つたバツカンとの間には距離があつたため、同被告はバツカンをすぐにつかみ上げることができず、数度試行錯誤を行つた後、アームを伸ばした状態でこれを底面の高さ約一メートルまでつかみ上げ、油圧シヨベルの車体を左旋回させはじめた。

ところが、この時、亡正夫は、右油圧シヨベルの東南約八・九メートルのあたりの場所におり、被告西山は、旋回直後に初めてこれを認め、危険を感じ、アームを手前に引く動作を行つたところ、アーム先端の爪からバツカンが外れ落ちた。

その直後、亡正夫が転倒しているのが認められたが、被告西山及び寺本の両名は、バツカンが亡正夫に衝突した瞬間、亡正夫が転倒した瞬間は見ていない。

2  右認定事実をもとに亡正夫の過失の有無を検討する。

(一) まず、被告らの過失の内容を検討すると、右認定の程度の大きさをもつた油圧シヨベルの車体を旋回する場合、重量物をつかんでいるか否かにかかわらず、アームが他人に当たつたときには相当の衝撃を与えるのであるから、運転者は周囲の安全を充分に確認した後に車体を旋回すべき注意義務を負う。ところが、右認定のとおり、被告西山は車体の旋回を開始した直後に初めて亡正夫の存在を認めたのであつて、同被告が右注意義務に違反していることは明らかである。

また、運転席が相当高いところに設けられているとはいえ、アームの死角に人が入ることも充分考えられるから(乙第六号証によると、右油圧シヨベルには、死角が多くあることが優に認められる。)、安全監視員を配した上で作業を行うべきであり、被告西山に単独作業を命じた被告会社の責任もまた重大である。

さらに、アームの先端の爪で重量のあるバツカンを上部からつかみ上げるという作業自体、バツカンが固定されているわけではなく、常に落下の危険性を内包しているから、避けるべきであつたというべきである。

(二) 他方、亡正夫も、それほど離れていない場所で油圧シヨベルが作業を開始したことを認めたのであるから、終始その動静に注意を払い、必要があれば作業場所を変更すべきであつたというべきである。

なお、右認定のとおり、亡正夫の作業場所は被告西山の油圧シヨベルの作業半径内ではなかつたが、その直近であり、亡正夫はバツカンの落下を予測しえず、さらに、他の作業が安全に行われることを信頼していれば足りる旨の原告らの主張を採用することはできない。

3  そして、亡正夫の過失と被告らの過失とを対比すると、被告らの過失の方がはるかに重大であつて、本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故に対する亡正夫の過失の割合を一〇パーセントとするのが相当である。

二  争点2(亡正夫に生じた損害額)

争点2に関し、原告らは、別表の請求欄記載のとおり主張する。

これに対し、当裁判所は、以下述べるとおり、同表の認容欄記載の金額を、亡正夫の損害として認める。

1  損害

(一) 死亡による逸失利益

甲第一〇ないし第一三号証、第二六ないし第三五号証、原告大嵩貴史の本人尋問の結果、弁論の全趣旨によると、亡正夫は、本件事故当時、柏原組に所属して日給を受け取つていたこと、税務申告上は、右日給は事業所得とされていたこと、税務申告における亡正夫の平成五年(一二月一三日に死亡するまでの分)の収入金額は金三九五万五〇〇〇円、経費は金八五万六〇〇〇円で、所得金額は右収入金額から右経費を控除した金三〇九万九〇〇〇円であること、右金額は、六月及び七月に亡正夫が所属していた親方から給与支払証明の発行を拒否されたため、実際の金額よりも少なくなつていること、亡正夫の同年九月から一一月までの収入金額は金一四五万七〇〇〇円であることが認められる。

そして、これらの事実によると、亡正夫の死亡による逸失利益を算定する基礎となるべき年収は、右三か月分の収入金額の四倍から、平成五年の税務申告における経費控除率と同じ割合を控除した金額とするのが相当であり、次の計算式により、金四五六万六六一七円となる(円未満切捨て。以下同様。)。

計算式 1,457,000×4×3,099,000/3,955,000=4,566,617

また、亡正夫が死亡した時に満六三歳であつたことは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によると、本件事故がなければ、亡正夫は少なくとも九年間は、右年収を下回らない収入を得たことが認められる。

そして、本件においては、亡正夫の死亡による逸失利益を算定するにあたつて、三〇パーセントの生活費控除及び新ホフマン方式による中間利息の控除を行うのが相当であるから(九年間の新ホフマン係数は七・二七八二)、右逸失利益は、次の計算式により、金二三二六万五七二六円となる。

計算式 4,566,617×(1-0.3)×7.2782=23,265,726

(二) 慰謝料

前記認定の本件事故の態様、当事者間に争いのない本件事故の発生時刻及び亡正夫の死亡時刻、原告大嵩貴史の本人尋問の結果、弁論の全趣旨により認められる原告らと亡正夫との間の家族関係、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、亡正夫の死亡による慰謝料を金二四〇〇万円とするのが相当である。

(三) 葬儀費用

甲第九号証、原告大嵩貴史の本人尋問の結果、弁論の全趣旨によると、原告らが当初主張していた葬儀費用金二七九万四二〇〇円は、被告会社の下請である大興金属興業株式会社が株式会社神東社に発注した葬儀の金額であること、業務上の災害により亡正夫が死亡したこともあつて、その葬儀は被告会社が事実上中心となつて執り行つたこと、右葬儀の費用は、大興金属興業株式会社が決済し、原告らはまつたく関与していないことが認められる。

そして、これらの事実によると、右葬儀費用は、亡正夫又は原告らに生じた損害とは解されない。

なお、原告大嵩貴史の本人尋問の結果によると、原告らはこれ以外にも葬儀に関する費用を負担していることが窺えるが、これに関する主張はない。

(四) 小計

(一)及び(二)の合計は、金四七二六万五七二六円である。

2  過失相殺

争点1に対する判断で判示したとおり、本件事故に対する亡正夫の過失の割合を一〇パーセントとするのが相当であるから、過失相殺として、亡正夫の損害から右割合を控除する。

したがつて、右控除後の金額は、次の計算式により、金四二五三万九一五三円となる。

計算式 47,265,726×(1-0.1)=42,539,153

3  損害の填補

(一) 原告らに対し、自動車損害賠償責任保険から金三〇〇〇万円、被告会社から金五〇万円が支払われ、この限りで亡正夫の損害が填補されていることは当事者間に争いがない。

(二) 乙第四号証の二によると、亡正夫の死亡に伴い、平成九年一月から、労働者災害補償保険法による遺族補償年金が年額金二四三万五五〇〇円支給されることになつたことが認められ、同法一六条の二の規定によると、右受給権者は、原告大嵩節子のみであることが明らかである。

そして、同法による遺族補償年金は、同法の定める保険給付の一つであり(同法七条一項一号、一二条の八第一項四号、一六条)、政府は、給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する(同法一二条の四第一項)。

したがつて、同法による遺族補償年金は、死亡した労働者の損害の填補をも目的としているものと解され、原告大嵩節子の受ける給付を同人の受けるべき金額から控除する必要があり、その範囲は、当該遺族補償給付請求権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られると解される(最高裁昭和六三年(オ)第一七四九号平成五年三月二四日大法廷判決・民集四七巻四号三〇三九頁参照)。

そして、同法一六条の四によると、遺族補償年金の受給者に婚姻あるいは死亡等の事由が発生した場合、遺族補償年金の受給権の喪失が予定されているのであるから、既に支給を受けることが確定した遺族補償年金については、現実に履行された場合と同視し得る程度にその存続が確実であるということができるけれども、支給を受けることがいまだ確定していない遺族補償年金については、右の程度にその存続が確実であるということはできない。

なお、同法九条一項、三項によると、年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるとされており、また、毎年二月、五月、八月及び一一月に、それぞれその前月分までを支給するものとされているから、原告大嵩節子において遺族補償年金の受給権の喪失事由が発生した旨の主張のない本件において、口頭弁論終結の日である平成九年三月一二日現在で、原告大嵩節子は支給開始時の同年一月分から三月分までの遺族補償年金の支給を受けることが確定していたとするのが相当である。

したがつて、乙第四号証により認められる遺族補償年金の年額金二四三万五五〇〇円の四分の一(三か月分)に相当する金六〇万八八七五円が、原告大嵩節子の受けるべき金額から控除されるべきである。

(三) なお、葬儀費用に関して判示したとおり、被告会社又は大興金属興業株式会社が負担した葬儀費用金二七九万四二〇〇円は、亡正夫又は原告らに生じた損害として計上しなかつたから、ここで控除することはできない。

また、以上判示した以外の損害の填補については、何らの主張がない。

(四) したがつて、亡正夫の損害のうち、金三〇五〇万円は既に填補されているというべきであつて、これを2で判示した過失相殺後の金額から控除すると、金一二〇三万九一五三円となる。

また、これとは別に、原告大嵩節子が受けるべき金額から金六〇万八八七五円が控除されるべきである。

4  弁護士費用

原告らが本訴訟遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であり、右認容額、本件事案の内容、訴訟の審理経過等一切の事情を勘案すると、被告らが負担すべき弁護士費用を金一一〇万円とするのが相当である。

5  相続

亡正夫と原告らとの相続関係は当事者に争いがないから、3と4との合計額金一三一三万九一五三円につき、原告大嵩節子は二分の一の金六五六万九五七六円を、その余の原告はそれぞれ四分の一の金三二八万四七八八円を、相続した。

そして、3で判示したとおり、原告大嵩節子が相続する金額から金六〇万八八七五円が控除されるべきであるから、同原告の請求しうる金額は、金五九六万〇七〇一円である。

第四結論

よつて、原告らの請求は、主文第一ないし第三項記載の限度で理由があるからこの範囲で認容し(遅延損害金の始期は原告らの主張による。)、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 永吉孝夫)

別表

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